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2012/10/20

食品担当 三島バイヤー

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食品担当 三島バイヤースーパー・キョーエイ*KYOEI
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「天恵」と「努力」

感覚は鍛えると研ぎ澄まされる。音楽家はストラディバリウスとそうでないヴァイオリンの音を聞き分ける。漁師は見ただけでその魚の産地がわかる。陶芸家は触っただけで、その陶器の土がどの地方の土なのか、何が混ざっているのか見分ける。生まれながらにしてそういう能力を持っている人もいるであろうし、ある一定以上の期間にそのことに集中することによって、身につくものもあると思う。先天的な天賦の才は華やかで、優麗で、甘く、軽やかで、あこがれの対象である。逆に後天的なものには、努力・忍耐・根性といった苦味というか渋みが付きまとうように思う。

 ワインの世界にもそういった傾向が強く現れる。ワインの品質の要素は、セパージュ(ぶどうの品種)、テロワール(土地・場所)、ヴィンテージ(年代・収穫年)の3つで構成される。まさに、神代の時代から続く天恵の申し子である。しかし、ワインは、「天・地・人」であるとも表現される。天地に関しては、前述のとおりであるが、「人」の要素がワインの品質を大きく左右する。例えば、ぶどうの木は1本に20房ぐらいできるのがふつうであるが、それを摘み取ってしまって、2房しか育てないようにすると、20房分の栄養素が2房に凝縮される。そこから生まれるワインは濃く深くまた、複雑で奥行きのあるすばらしい作品に仕上がる。その他にも畑の管理であったり、醸造したり熟成させる温度や時間によっても造り手のセンスによって、ワインの味や品質はまったく違ったものになる。私はワインの酸味や甘さは天の恵みの味であり、渋みや深さ・複雑さは人の力の味ではないかと思っています。(あくまで個人的な見解ですが…)。

秋は、ワインの季節です。自然と人との関わりを祝い、感謝する時です。新しく採れたもの、新しく出来たものを大いに楽しむべき季節です。今年の新酒の出来栄えを家族や友人で語り合い、盛り上がることが天地への感謝、人への賞賛になるのではないかと考えます。11月の第3木曜日はボジョレー・ヌーヴォーの解禁日です。ボジョレー地方で作られた新酒を飲んで祝う日になっています。今年の収穫量は少ないものの、品質は良いと聞いています。

実は、ボジョレー・ヌーヴォーは非常にバイヤー泣かせの商品です。バイヤーは通常、商品の品質を見てその価値に見合う値段をつけて販売する仕事ですが、ボジョレー・ヌーヴォーは味見ができない。解禁日までに商品を手配するためには、7~9月に商談を済ませなければなりません。当然その時期にサンプルはありません。味に関しては去年頼み。今年、天の恵みに浴することができるのか?酸味は、渋みは、香りの強さは、全体のバランスは?それなのに原価は決まっている。美味しくないワインを高い値段で売ってしまったら?お客様に美味しくないワインを売ってしまったらどうしよう?ボジョレー・ヌーヴォーはバイヤーよりお客様の方が先に飲むことも珍しくないのです。

ですから、キョーエイではボジョレー・ヌーヴォーは生産者で売ると決めたのです。他のワインと違ってボジョレー・ヌーヴォーに関しては天恵を祈らない。キョーエイは人の力・信用・信頼・努力を買う。弊社の社長や常務がフランスのボジョレーまで行って、畑や栽培状況を観察し、ピエール・フェロー社のドミニクフェロー氏と話をし、生産者の人間性まで理解して仕入れを決めた商品なのです。

ボジョレー・ヌーヴォーは新酒であるため、熟成がされておらず、良く言えばフルーティで爽やかな味わい、悪く言うと単調で複雑味がないと評されることがあります。それでも私は期待しています。陽気で明るく温かみのある当主ドミニクフェロー氏は体型は少々太め、少し古風な黒ぶち眼鏡の奥にはかすかに神経質さを感じさせる瞳が光ります。そこから想像するワインの味は…きっと、芯がしっかりしていて伝統的な重さを残しつつも、底抜けに陽気で爽やかな酸味があり、アルコールの刺激がかすかに後味に残るようなワインではないかと考えます。今年のピエール・フェロー ボジョレー・ヌーヴォーは果たして、どんな味わいになっているのか?皆さまにもお試しいただければ幸いです。

キョーエイは、今年もやっぱりピエール・フェローのボジョレー・ヌーヴォーをおすすめいたします。

 

 

 

ボジョレー・ヌーヴォー2012

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